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とある石の代償(ネタバレあり) [ドラクエ9]

 夕日が沈む。
 その光景を、キネンシスは、セントシュタイン城の屋上で眺めていた。
「……ここだったか」
 不意に、声をかけられた。彼女にとって、聞きなれた声である。この声を聞けば、彼女はほっとすることができた。
「イザヤール様…」
 キネンシスは、その人物のほうを向いた。そう、声の主は、彼女の師匠であり、今では、それ以上に大切な人であるイザヤールだった。彼女は、他の人がいるときは、イザヤールのことを「師匠」と呼ぶが、二人だけのときは、彼のことは「イザヤール様」と呼んでいる。
 しばらく、二人は、夕日を眺めていた。
 …やがて、イザヤールが口を開いた。
「……さっきのことか?」
 キネンシスは、しばらく黙っていたが、少ししてから、逆に聞き返した。
「……私は、間違っていたのでしょうか?」
「…お前は、間違っていない。あの時、仮に私があの依頼を引き受けていたら、私も、お前と同じことをやっていただろう。…あのときは、まさか、あのようなことがあったとは考えられなかったからな」
「……」
「少なくとも、悪いのはキネンシスではない。何も知らなかったお前は悪くない。だから、自分を責めるのはよさないか?」
「……はい」
 キネンシスはそう返事したものの、やはり、心に引っかかるものがあった。
『前々から変わっていないな、こういうところは』
 ちょっとした失敗に落ち込むことが多いキネンシスは、今回の依頼にて、とても嫌な思いをした。決して、失敗したわけではない。だが、依頼主が、他の人物にも依頼を出していた。依頼の達成後、なんと、別にいた引き受けた人物と鉢合わせになってしまったのだ。別の引受人には、とても不快な思いをさせてしまった。なぜなら、依頼人は、別の引受人には、「お前にはもう関係のない話だ」という趣旨の言葉を告げ、礼の一言もなかったからである。キネンシスは何も悪くないが、別の依頼人を怒らせ、後味の悪い結果となってしまった。
 そんなことがあっては、自分が悪くなくても、本当に悪いのは自分ではないのか…と、キネンシスは考えてしまう。
 キネンシスは、自然と、イザヤールに身を寄せた。
 イザヤールは、それを自然に受け入れた。
『こうやって…甘えるのはよくないけど……。でも、今は…今だけは……』
 傍にいるのがイザヤールで本当によかったと、キネンシスは感じていた。
「……少なくとも、私は、あの依頼人が気に入らない。キネンシスに悲しい思いをさせたから、なおさらだ」
「イザヤール様……」
 イザヤールと同じく、キネンシスも、あの依頼人は気に入らなかった。
 今後、またあの依頼人から何か頼まれるかもしれない(頼まれないかもしれないが)。だが、あの態度からして、キネンシスは、全く好感が持てなかった。
 今後の相手の態度にもよるが、今の段階では、キネンシスは、あの依頼人には、再び協力する気にはなれなかった。



 というわけで、昨日配信されたクエストのその後…ということで書きました。
 今回のクエスト自体はすぐに終わったのですが、はっきり言って、後味の悪い内容でした。とある石を持って来いという内容でしたが…。
 これで終わりとはとても思えない内容でしたが、果たして、続きがあるのでしょうか? 「ストーリークエスト」という位置づけにはなっていませんが、ノーマルクエストの中にも、ストーリークエストではないものの、続きネタがあるクエストは存在しました。今度はそういうクエストかもしれない…と考えています。少なくとも、今回のクエストで終わりだと、本当に後味が悪すぎます。救いの手段が欲しいものです。
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